東京・六本木。華やかな中心街を少し歩くと、フレンチの名店「chanti」など、落ち着いたもう1つの六本木の顔に出会う。お店の近く、1本路地を入ったところに、ファションの路面店を思わせる美しい外装のクリニックをもつ、素晴らしい医師が存在する。 アジア人で初めて、美容外科界のノーベル賞ともいわれる「ウォルター・スコット・ブラウン賞」を受賞するなど、フェイスリフトの第一人者として世界に名を馳せるドクター“白壁征夫”。その卓越した技術はもちろん、決して現状に満足することなく常に新しい治療、技術をクリエイトする、活力溢れたその姿は、多くの医者、患者に希望を与え続けている。そんなカリスマ医師の素顔に迫った。
なぜ美容師って思うでしょ?私の父は美容外科医でしたから、学生時代、もし自分が医者にならなくても、父の仕事を活用できる職は何かないかと考えた時、美容外科と同じようにクリエイティブな技術を必要とされる美容師だ、と思い当たったんです。昼間は医学部へ通い、夜は美容師の学校へ通いました。美容医療という考えが浸透していなかった時代、本当の美容医療を伝えたいと生涯をかけて働く父の姿を見て、私も後に父の有志を継いで美容外科医になりましたから、美容師の資格を使う機会がなかなかなかったんです。ところが、恵比寿にクリニックを開業したときに、余ったスペースができた。そこで、美容師時代の知識を生かして、医療に美容やエステティック的な要素を加えたサフォレディースドックを作ったんです。それが21年前の話。当時、医療と美容が融合した初のクリニックとして学会で評価され、そこで初めて美容師の資格が生きたんです(笑)
雷太さんー父の凄さは絶対なる安心を与えられることだと思います。正直、今の世の中、絶対はなかなかないと思うんですけど、父の技術は絶対に安心だと心からいいたい。それは、患者様たちが父に会いに来たときに、その信頼感や期待感にあふれる顔をみるとよくわかるんです。だからこそ、広報の立場にある私も「うちにまかせてください!」と、心から伝えることができる。技術ももちろんですけど、この安心感こそドクターとしての父の凄さだっって思います。そして、広報になってから父と一緒に学会などに参加するようになって、美容外科はアートに近いものだということがわかりました。父はそういう意味でアーティストであり、美しいものを作り上げる天才なのだと感じています。
雷太さんー 患者様から絶大な信頼感を得ている父ですが、実は道端でねずみに遭遇したときにぎゃーっと走って逃げたほど、そんなおちゃめな一面もある人。そんな父が、私が飼っていたリスがケガをしたときに、傷が残らないようにキレイに治してくれたんです。本当に嬉しかったし、大嫌いなリスさえ傷跡を残さず治す父はすごいなって、幼い頃思ったのを覚えています。
白壁先生ー 仏像を見に行っても、1体ずつ表情筋が違うのが気になって、結局、それについて論文を発表しました。もう、タイトルも決まっていて、今は、マイケル・ジャクソンの鼻の手術の移り変わりを論文にしたいんですよね。読んでみたいでしょ?
雷太さんー こうやって、医療に関しても次々に新しい発想が出てきます。これが毎日ですからね。大変ですが、それを具現化するのが私にとっての楽しみでもあるんです。
一時期、治療で誰もが同じような顔になった時代がありました。これは、医者の好みが患者さんの顔に反映してしまったから。私のところに学びに来た学生には、まず好きな絵を4枚買って来なさいと伝えます。そして、その絵の色や形の傾向を知って、それをまず捨てなさいと。美容外科は、自分の趣味や主張を出してはいけない。患者さんの話をよく聞いて、何を望んでいるのかを受け止め、できることと、できないことを伝えてあげる。人それぞれの生き方に合った美しさを引き出す。それこそが美容外科医のあるべき姿ですし、これからのアンチエイジング医療だと考えているんです。 そして、フェイスリフトでしわや目のたるみをとって、パーツは19歳のときのようになっても、トータルで見ると19歳の顔ではないですよね。人生が顔に宿り、それがその時の、その人の美しさであるから。大事なのは、50歳なら50歳の美しさをクリエイトしていくことなんです。
自分のお葬式に飾られる写真って気になりますか?以前、歩くこともおぼつかなかった86歳のある女性と出会ったんです。その方は、自分のお葬式の写真を美しくしたいからと、付き添いの方に手をひかれてフェイスリフトの手術を受けにいらしたことがあってね。それから2週間後、アフターケアにいらっしゃったその方が赤い服を着て、背筋をシャンと伸ばし、にこやかにひとりで歩いてクリニックにいらっしゃった。とても同じ方とは思えないほど、堂々とイキイキとしていたんです。 治療後、多くの方が服やメイク、しぐさまで変わります。フェイスリフトなんて本当はたいしたことないんです(笑)。気持ちが変わるほうがずっと大きい。私のやっていることは、患者さんの乗ったトロッコをちょっと押してあげるようなもの。後は目指す美しさに向かってご自身で進んでいきます。それはフェイスリフトに限らず、美容医療という分野全般に言えること。女性の美しさを内側、外側の両面から引き出し、死ぬまで健康で元気に美しく生きていく。どうやったらそうできるのか、その方法を常に考えて、具現化していきたいです。